大阪府条例に関する声明

大阪維新の会代表 橋下 徹 殿
大阪維新の会 大阪府議員団 殿
大阪維新の会堺市議会議員団 殿

大阪府教育基本条例案の撤回を求めます。

 私は、日本バプテスト同盟というキリスト教プロテスタントの一教派の代表をさせていただいています。教派の代表者として、教育への不当な支配を可能にする「大阪府教育基本条例案」の撤回を求めます。その理由を述べさせていただきます。
  1. 前文で、民意が十分に反映されてこなかったとありますが、選挙で選ばれた知事の考えが「民意」ではありません。教育には、政治的中立が求められています。教育基本法16条は、「教育は不当な支配に服することなく行われるべき」と定められています。政治の役割は、教育環境を整えることです。
  2. 第1章の目的及び基本理念では、規範意識、義務、自己責任、愛国心、競争力の高い人材育成との言葉が目にとまります。今の社会は権利を主張し過ぎ、義務や責任を果たさないことへの懸念と思われますが、教育基本法の教育の目的からは、かけ離れている内容です。
  3. 第2章、3章では教育に対する政治の関与が示されています。これらは、明白な政治介入です。教育委員会は、知事の目標達成のための機関となります。知事は、教育委員を罷免することができます。教育委員の身分保障は大切です。教育委員会制度は、教育が戦争遂行のために大きな役割を果たしてきたことの反省から生まれたものです。
  4. 第5章の教員への評価では、割合を定めた相対評価となっています。これは、教師を監督統制するためのものです。2年連続で最下位5%D評価の教員への分限処分とありますが、教員が教育の現場でこのような形で評価されることは、子どもたちもそのように評価されることにつながります。このような評価は、教育にはなじみません。
  5. 第6章の懲戒・分限処分に関する運用では、正当な処分がなされるのか、疑問です。職務命令違反の教員への重罰は、「君が代」起立斉唱命令違反者をやめさせるためのものと思われます。このことは、思想・良心の自由に対する重大な侵害です。
以上、教育の政治介入、教育基本法にある教育の目的からの逸脱、人権侵害からの観点から、即刻、撤回を求めます。

2011年12月5日
日本バプテスト同盟
 理事長 藤井勇次

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