内閣総理大臣 安倍 晋三殿

わたしたちは安全保障関連法案に反対します

2015年7月9日
日本バプテスト同盟理事会
理事長 山本 富二

正義が造り出すものは平和であり
正義が生み出すものは
とこしえに安らかな信頼である。
(イザヤ書32:17)


 日本政府は、2014年7月1日、集団的自衛権の行使を容認するための憲法解釈を閣議決定しました。それは、「米国のような日本と密接な関係にある他国が武力攻撃を受けた場合、それを阻止するために自衛隊が武力を使う集団的自衛権が認められる」というものでした。歴代内閣は、日本が直接攻撃を受けた場合に限り、自衛隊が反撃する個別的自衛権だけを認めてきました。現政府は、憲法解釈の閣議決定や集団的自衛権を具体化する安全保障関連法案の根拠を「1959年砂川事件最高裁判決」に置いています。しかし、憲法学者らからは再三、集団的自衛権の行使を容認するための憲法解釈は、憲法違反であるとの厳しい批判が出ています。現内閣は、憲法を恣意的に曲解、違憲であるとの判断がなされても無視し、独裁的に戦争する国へと誘引し、憲法を順守していません。

 自衛措置としての武力行使の新三要件の第1項は、「我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」とあります。そもそも日本国憲法九条2項で「前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」とあり、国の交戦権は認められていません。「自衛」との名目で、海外における国家間の戦闘に日本が参加することは憲法違反です。集団的自衛権の行使は、憲法違反であることは明白です。

 安倍晋三内閣総理大臣は、「日本の安全、平和を守るために、集団的自衛権の限定的行使によって米国との同盟関係を強めていくことは、抑止力が高まり、戦争に巻き込まれることが少なくなる」と発言しています。しかし、第二次世界大戦以降、戦争を続けてきた米国との関係強化は、いよいよ日本を危険に晒します。国の交戦権を否定した憲法を持つ日本が、集団的自衛権という理屈を作り出し、平和憲法を否定することは、アジア近隣諸国に対する不誠実です。

 日本は戦争を放棄しました。国を守ることは、近隣の国との信頼関係を築くことであり、武器部品の製造、保持、販売を容認し、米国との軍事強化を進めることではありません。わたしたちは、平和の主、イエス・キリストを信じるものとして、武力を捨てることこそが、真の平和をつくり出すものとなることを信じます。

 日本バプテスト同盟は、戦時下、国家の教えと政策に対して妥協し、へつらい、聖書の語るイエス・キリストの真理をゆがめた歴史を負っています。また日本がアジア周辺諸国の人々に対して国家神道を強要し、アジアの姉妹兄弟たちが信仰を貫こうとして迫害を受けたとき、わたしたちは助けることをせず排除さえした過ちを、神と世界にむけて告白するものです。わたしたちは、戦争の加害者的責任を忘れないで、平和を作り出す働きに積極的に参与していきます。

 わたしたちは安倍晋三内閣政権に対し、憲法九条に反する安全保障関連法案の即時廃案を求めます。


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